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人類の過度の資源利用が地球環境問題の根源にあることが明らかである現在、生産性増大のみをめざすのではなく、環境の保全に配慮し限られた資源を持続的に利用する生活様式を探ることが、人類に求められています。そのためには、地球と人類共生の可能性を見いださなければなりません.森林は陸地面積の31%を占め、循環可能な資源の生産を含め,様々な生態系サービスを提供する能力を有しています.このことから、森林を保全・保護し,同時に資源として有効に活用することは,人類の生残にとっての重要な課題であることは明白です.さまざまな地球環境問題の解決のために,森林に関する科学的知見に基づいて斬新な戦略をたてることのできる若い人の力が,求められています.
森林科学科では、森林と森林が提供するさまざまな資源についての研究・教育を進めています.生物多様性,物質循環といった森林についての生物学的あるいは生物地球化学的な基礎研究や,木材やセルロースやさまざまな有機物についての物理的・化学的な基礎研究とともに,温室効果ガスの排出抑制や循環型社会を実現するための応用的な研究を進めています.また自然科学的なアプロ―チだけでなく,社会学や経済学からのアプローチによる森林と森林資源についての研究も進めています.多様な分野の研究者が協力することで,森林と木材由来の生物材料に関する総合科学の確立をめざしています。教育面では,森林科学を俯瞰的にみることのできる広い視点を育てるとともに,課題研究を通じて科学的な探求能力を育てることを目指しています.
森林科学科には,17の研究室があり,研究内容は多岐にわたります.これらは、大きく3つのグループに分けられます。 1. 森林生態系に関する自然科学的な基礎・応用研究を進める6分野(森林生物学、森林生態学、熱帯林環境学、森林水文学、森林利用学、生物圏情報学)、2. 森林から産み出される生物材料に関する基礎・応用研究を進める8分野(林産加工学、生物材料設計学、生物繊維学、樹木細胞学、複合材料化学、生物材料化学、森林生化学、エネルギーエコシステム学)、3. 森林や景観の管理ならびに防災に関する研究を進める3分野(森林・人間関係学、環境デザイン学、山地保全学)があります.さらに、北海道研究林や芦生研究林を有するフィールド科学教育研究センターと,大型研究機器や実験施設を有する生存圏研究所とも連携して、教育・研究を展開しています.
1回生から3回生は、授業や実験・実習をとおして、森林とその利用を総合的に理解するための基礎を学びます。4回生は、17の研究室のいずれかに分属して課題研究を行います。これらの教育課程によって,森林と木材などの生物材料に精通し,研究や産業に携わる基礎能力を有するとともに,高い倫理性を持った行動力のある人材を育成することを目指しています.