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人類は、陸地や海洋に生育・生息する植物、動物、微生物などの多様な生物を、みずからの生命を維持し活動するための糧とするとともに、日常生活を支えかつ豊かにする貴重な資源として利用してきました。そして、その長い歴史において、このような生物資源をそれぞれの利用目的にとってより望ましいものに改良するとともに、それらの潜在能力を最大限に引き出す栽培・飼育方法を確立することや生育・生息しやすい環境を整えることに、多大な努力を重ね知恵を絞ってきました。その結果今日では、一見身の回りに食べ物や生活物資があふれているようにみえますが、地球規模で見れば 21世紀の食料生産が人口増加に追いつきそうにない深刻な事態に直面しており、また資源生物の過度な利用が、地球環境の悪化や生態系の破壊を引き起こしつつあるという重大な問題を抱えています。したがって、資源生物のより安定した高い生産性とよりよい品質の確保を、環境との調和と生態系へのマイナスインパクトの低減を図りながら追求していくということは、これからの地球と人類に求められている大きな課題です。
資源生物科学科は、この大変難しいがチャレンジングな課題に取り組む人材を育てるため、基礎知識から応用技術まで、幅広い教育を提供する学科です。学科は31分野(内容は下記参照)という多くの専門分野から構成されています。それは、食用作物や他の資源植物、家畜や他の資源動物、海洋の魚介類や微生物といった多様な生物を、マクロからミクロまで、すなわち集団、個体から細胞・分子にいたる様々な視点から研究しているからです。また、それぞれの資源生物を如何にして外的から保護し、その生育・生息する環境を好適な状態に維持するか、さらには如何にして不良環境下でも高い生産性を得るかについても、新しい品種等の創出も含めた研究がなされています。
このように資源生物科学科の教育内容は広い領域・分野にわたっているため、下表に示す 4 つのコース制となっています。 1 ~2回生ではまず資源生物科学全般について学び、 3 回生になるときにそのなかで興味が深まったいずれかのコースを分属先として選択し、さらに4回生で各コース内の分野を選択して分属することになります。