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本学科は、長い歴史をもつ旧食品工学科および旧食糧科学研究所を母体とし、食と健康に関する生理化学・生命科学に特化したユニークな学科として、平成13年度に設置されました。
今日、食に関する学問は、人類の持続的発展を維持するための最重要基盤の一つとして認識されています。具体的には、味覚と食感、食嗜好性の制御、栄養素の消化・吸収、酵素による分解と代謝、機能性食品成分を含む天然有機化合物の構造決定・合成と生理機能、腸内細菌を含む常在微生物の動態などに関わる人間を含む生体応答メカニズムに関する研究を、化学・生物・物理を基軸とする実験科学に基づいて分子・細胞・個体レベルで行っています。さらに、これらの成果を健康増進と疾病予防に資する食および医薬品への応用研究に繋げます。
本学科では、世界トップレベルの研究者の育成を目指して、スタッフ全員が使命感をもって研究と教育に邁進しており、食を取り巻く広範な学問・知識を基礎から応用にわたって幅広く緻密に教授しています。卒業生の人脈は、大学などのアカデミアならびに食に関わる産業をはじめ社会の各方面と幅広い繋がりを築いており、国際的にも高い評価を得ています。 本学科は、食品生命科学講座・食品健康科学講座・食品生産工学講座の3つの大講座から構成され、次のような視点から教育・研究を行っています。
(1)物理化学、有機化学、生化学、分子生物学などの基礎科学を理解する。 (2)生物・人間の食行動と生理反応を分子・細胞・個体レベルで研究する。 (3)健康増進と疾病予防に繫がる食習慣や機能性食品、医薬品を提示する。
この教育・研究目的に沿って、1,2回生から、専門課程の準備段階として、微分積分学、線形代数学、基礎物理化学(熱力学と量子論)、基礎有機化学、基礎化学実験などの全学共通科目の修得が重要です。 専門課程では、すべての専門科目が物理化学系、有機化学系、生化学系、分子生物学系、専門・実習系、専門実践系に区分されており、食の「科学」を体系的に教育するプログラムを用意しています。特に当学科は実習系科目を重視しており、3回生の午後は毎日、専門科目に関する実験を行います。また、演習により各学系に関する知識の定着を図ります。4回生になると、本学科の8分野と生命科学研究科の1分野のいずれかに分属し、課題研究(卒業論文)に取り組みます。 分野分属後は、下記の各分野キーワードに関する最先端の研究に着手し、世界をリードする研究者の礎を築きます。