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芋虫がアリの攻撃を避ける連続曲芸技を発見―飼育容器内で観察してもわからない現象の例―

投稿日: 2024-10-21

 動物を飼うことは、彼らが脱出する自由を奪うことと同じです。飼育する動物を観察すると、本来なら脱出してそこにいない動物の不自然な行動を観察している恐れがあります。農業害虫のコナガの幼虫は、アリなどに攻撃されるとエビのように素早く飛び退くことが知られます。コナガの幼虫とアリを飼育容器の底面で観察すると、幼虫は飛び退いて何度かアリの攻撃をかわしますが、いずれ必ず捕まるので無駄な抵抗に見えます。

 伊藤和也 農学研究科修士課程学生(現:住友化学株式会社研究員)と矢野修一 同助教は、この回避術が餌植物上では大いに役立つことを発見しました。幼虫は居場所に応じて回避術を使い分け、葉の表でアリに会うと飛び退いた後に葉の端から糸でぶら下がり、葉の裏でアリに会うとその場でぶら下がりました。アリはぶら下がった幼虫を追撃できません。コナガの幼虫がアリの攻撃を避ける華麗な連続技をもつことは、彼らが今日までアリとの厳しい攻防を生き延びてきたことを物語ります。

 本研究成果は、2024年10月16日に、国際学術誌「Annals of the Entomological Society of America」にオンライン掲載されました。

 

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