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投稿日: 2014-07-04
中国・駐大阪総領事館の Sheng Hongqiang 副領事と浙江大学の Lei Qunfang 教授・研究室管理部副部長ら11名は3日、安全・品質・試料管理から人材育成に至る、研究室の運営に関する様々な知見を得るため、京都大学大学院農学研究科を訪問しました。
浙江大学からの使節団は、研究室マネジメント、エネルギー工学、化学、人的資源論、光工学、情報学、物理学、農学バイオテクノロジー、医学、畜産学、薬学の教員・研究者から成り、学際性に富んだ構成が特徴的でした。
同研究科の宮川恒研究科長、縄田栄治副研究科長(国際担当)、天野洋副研究科長(教務担当)、松井徹副研究科長(研究担当)、近藤直国際交流委員長が歓迎の意を表し、Sheng 副領事と Lei 教授が訪問受け入れに対する謝辞を述べた後、近藤研究室(生物センシング工学)から事例の紹介がありました。
近藤教授は、京都大学が自由な学風と自学の気質で研究志向を貫いてきた結果、8名のノーベル賞受賞者を輩出したこと、本学に最も多くの留学生を送り出しているのが中国であること(2013年5月1日現在1,733名中764名 [PDF])、学生の約半分を留学生が占める近藤研においても中国の存在は大きく、浙江大学からも数名受け入れていること、などの背景から説明を始めました。
自身の研究室マネジメントついては、京都大学と同じく自由の学風と自学の気質を旨としていること、その上で研究室内グループ制に基づいた目的別ミーティングや、オープンコースウェア(OCW*)も活用したプレゼンテーション演習・評価を実施していること、などを紹介しました。
*2005年から始まった京都大学OCWは、学内で実際に利用している講義教材をインターネットで公開するプロジェクトです。
研究室内グループ制について、近藤教授は「自分の研究プロジェクトを進めるには、研究室メンバーのゴールを知り、そのゴール到達への手助けをする必要がある。その過程を互いの学習機会とし、グループ間で知識共有を図り、グループ内メンバーと共同で実験をすれば、データの検証・多面的な議論・間違いの防止に寄与する。1対1、グループ内、研究室内、講座内、専攻内、といった複層間で還流する学びのシステムが大切」とし、その意義を語りました。
同研究室の小川雄一准教授、鈴木哲仁助教、Han Shuqing 研修員は、機器の運用ルールや安全対策、動物実験の管理体制など、日々の研究活動を具体的に紹介しました。
浙江大学からの使節団は、機器購入の財源や有機溶剤の取り扱い、全学と部局それぞれの倫理委員会の在り方など、具体的な質問を多く投げかけました。
同席していた京都大学国際交流推進機構の Han Liyou 特任准教授は、生化学の研究者として培った知識・経験と、中国語・英語・日本語の能力を活かして議論を助け、予定されていた時間を越えて意見交換が続きました。
一行は、近藤研究室を見学し、留学生の声を聞く場をさらに設け、約3時間にわたる訪問を終えました。
浙江大学と京都大学は2003年に学術・学生交流協定を、浙江大学農学生命環境科学部と京都大学農学研究科は2009年に学生交流協定を、それぞれ締結しています。以来、浙江大学での留学説明会「京都大学の日」(2009年)や短期留学プログラム「スプリングスクール」(2012年、2014年)の実施、相互の訪問をとおした人的交流などが続いています。
Lei Qunfang 教授(奥・左から4人目)、Sheng Hongqiang 副領事(奥・左から5人目)ら訪問団との記念撮影
歓迎の意を伝える宮川恒研究科長(中央)
自身の研究室マネジメントについて紹介する近藤直委員長