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国立台湾大・宜蘭大の学部長ら、農学研究科を表敬:学生にエール「もっと国際経験を」

投稿日: 2014-11-12

 国立宜蘭大学(NIU)生物資源学院の Yi-Chich Chiu 学院長と国立台湾大学(NTU)生物資源農学院の Suming Chen 副学院長は11日、農学研究科を表敬訪問し、宮川恒研究科長、縄田栄治副研究科長、近藤直国際交流委員長と会談しました。

 本会談は、協定に基づく連携を強化することを主な目的としたもので、特に大学院生の相互派遣の可能性について話し合われました。本研究科は、2012年に NTU 同院と学生交流協定を、2014年10月に NIU 同院と学術・学生交流協定を締結しています。これら協定により、授業料を不徴収とし、単位・学位取得を目的としない交換留学が可能となりました。

 NTU では、京都大学の博士課程への正規入学を支援する枠組みも生まれてきたことから、両国で応募可能な奨学金も含め、広範な学生交流の選択肢とそれぞれの実現可能性を議論しました。

 学生の多様なニーズに応える一つの方法として、Chen 副学院長は「地理的に近いこともあり、例えば NTU で4か月、NIU で2か月というようなアレンジも考えられる」とし、時間に制約のある中での機会最大活用を呼びかけました。

 時間の制約に加え、大学院生が留学に踏み切れない他の要因として、Chiu 学院長は「言語の問題が大きい。欧米より、言葉の壁が低い中国本土の有力校を選ぶ傾向があるように思う」とし、非英語圏の大学の課題として挙げました。

 それぞれの大学での英語による講義群の整備状況など、国際化の取り組みについて意見交換した後、Chen 副学院長は「そんな状況下でも、海外に踏み出す学生がいないわけではない。留学先で経験したことを、帰国後にセミナー形式で報告する場を設ければ、迷っている学生を後押しすることにもつながる」としました。

 最後に、協定・奨学金・大学独自の支援など、枠組みに捉われず留学の機会を模索していきたい意向を確認し合い、会談は終了しました。

NTU との交流経緯と今後の展望

 京都大学と NTU は2005年、大学間で学術・学生交流協定を締結しました。以降、留学説明会(2013年)やシンポジウムの共催(2013年2014年)やサマースクール(2013年2014年)などをとおし、農学・生物資源学をはじめ多くの分野で交流を深めています。

 農学研究科と NTU 生物資源農学院は2012年、学部生向けの共同遠隔講義を試行開始しました。ビデオ会議システムで同時中継し、双方の学生が同じ講義を受けられる点と、全て英語で行われる点が特徴です。2013年に正式に開設され、現在は「Introduction to Foreign Literature on Bio-Systems Engineering」として、農学研究科では近藤教授と Garry Piller 准教授が、NTU では Chen 教授と Ping-Lang Yen 教授が担当しています。

 2014年12月20~21日には、農学研究科の教員による特別集中講義「Current Issue in Agriculture: A Japanese Perspective」が、NTU で予定されています。NTU 学部生と大学院生を対象に、北島薫教授(熱帯林環境学)・縄田教授(熱帯農業生態学)・宮川教授(生物調節化学)・近藤教授(生物センシング工学)・谷史人教授(食環境学)が計18時間にわたって講義し、修了者には単位が認定されます。約150名の受講が見込まれています。

 こうした様々な形の交流について、近藤教授は「双方の学生にとって、留学の時間がとれない中でも国際経験を積むことができる貴重な機会。ぜひ積極的に活用してほしい。また農学研究科としては、京都大学の国際戦略『2x by 2020』に寄与する意味もある。今後も連携を強化していきたい」とし、更なる発展に期待を寄せました。

近藤直委員長, 宮川恒研究科長, Yi-Chich Chiu 学院長, Suming Chen 副学院長, 縄田栄治副研究科長
左から、近藤直委員長、宮川恒研究科長、Yi-Chich Chiu 学院長、Suming Chen 副学院長、縄田栄治副研究科長

飯島由多加, 近藤直委員長, 宮川恒研究科長, Yi-Chich Chiu 学院長, Suming Chen 副学院長, 縄田栄治副研究科長
会談の様子