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国際熱帯農業研究所(IITA)所長、山極壽一総長・宮川恒農学研究科長らを表敬

投稿日: 2015-04-10

 国際熱帯農業研究所(IITA/本部:ナイジェリア・オヨ州)の Nteranya Sanginga 所長らは8日、京都大学を訪問し、午前に山極壽一総長と、午後に同農学研究科の宮川恒研究科長らと会談しました。

 午前の会談では、IITA と京都大学の連携の形と可能性が議論されたほか、Sanginaga 所長の出身地であるコンゴ民主共和国ブカヴ市ルウィロ村で、山極総長が現地調査をしたことがあるという偶然の発見がありました。

 IITA と農学研究科は2010年に学術交流協定を締結していることから、午後は連携をより強化するための意見交換が行われました。

 Sanginaga 所長は、交流が特に望まれる分野について「依然として農業害虫は大きな課題。また、干ばつが二期続くと、作物への被害は深刻なものになる。熱帯農学はもちろんのこと、食品生命科学・食品生産工学まで横断するような共同研究ができれば」としました。

 宮川研究科長らは、英語のみで修士・博士学位の取得が可能な「農学特別コース」や、国際協力機構(JICA)による「アフリカの若者のための産業人材育成(ABE)イニシアティブ」などへの応募を歓迎する意を伝えました。

 日本への受入だけでなく、アフリカへの派遣で可能になる交流の形として、IITA が独自に開発・実施しているインターンシップ・トレーニング制度が挙げられました。短期から長期、学部レベルから大学院レベルの研修プログラムに加え、研究者向けのサバティカル制度まで整備されていることから、農学研究科にとって十分に魅力的な交流機会であることが話されました。

 会談後は、縄田栄治副研究科長とアフリカ地域研究資料センター荒木茂教授の進行により「IITA所長を囲む会」が開催され、Sanginaga 所長による講演「IITA 発展的変革:アフリカの問題解決に向けて」が行われました。

 現在 IITA で植物生理学の研究をしている石川春樹博士は、参加した学生に対して、英語に自信がなくても積極的に質問してほしいこと、完璧でなくとも Sanginaga 所長が汲み取ってくれることを伝えました。その直後、Sanginaga 所長から「今喋っていたことを通訳してくれないか」との質問があり、参加者一同が和む一幕がありました。

 IITA は、飢餓・栄養失調・貧困問題を解決するため1967年に設立された非営利組織です。15機関が参画する国際農業研究協議グループ(CGIAR)コンソーシアムの一員で、熱帯地域におけるバイオテクノロジー、作物の遺伝的改良、自然資源マネジメント、植物生産、社会科学、農業ビジネスの研究開発が特に盛んに行われています。CGIAR がサハラ砂漠以南に与える影響のうち、IITA の貢献は70%以上とされています。

 Sanginga 博士は2011年、アフリカ人として初めて所長に選出されました。

荒木茂教授、近藤直国際交流委員長、Nteranya Sanginga 所長、宮川恒研究科長、縄田栄治副研究科長、石川春樹博士
左から、荒木茂教授、近藤直国際交流委員長、Nteranya Sanginga 所長、宮川恒研究科長、縄田栄治副研究科長、石川春樹博士

荒木茂教授、Nteranya Sanginga 所長、石川春樹博士
会談中の訪問者ら

近藤直国際交流委員長、宮川恒研究科長、縄田栄治副研究科長、飯島由多加
会談中の対応者ら